戦中・戦後の子どものオーラルヒストリー
仲本實先生のオーラルヒストリー

その他の動画   (戦時中のくらし)

① ③ ④

② 十・十空襲

 ある日,私,弁当をつくってました,弁当といっても,サツマイモがだいたい三つぐらいをタオルの端っこにくくるんですよ。そして,おかずはというと,油味噌っていうのがありますね。ネギなんか,味噌にネギなんかを入れて油で炒ったやつね,あれをつくっておったんです。

 そうしたら,上のほうで,バーッと飛行機の音なんですよ。そうすると,私は飛行機の音というのは,ほら,前から言ったように,聞き分ける力があったわけでしょ。「今の飛行機,大変だ。たくさんいる」と。しかも何となく音が違うんだな。そして,「ほらぁ」ということで,隣に家畜小屋があった。要するに,馬小屋とか牛小屋があったんですが,そこの上に登って見たんですよ。そうしたら頭の上から行って,この飛行機がビューンと行って,バリバリバリバリッと来るわけですよ。そうすると,「ああ,今日は演習だ。すごい演習だな」と見ておったんです。

 そのうちに,そこからダーッと煙が上がったんですよ。そのころになって,やっと兵隊さんがそこを駆けずり回っとる。「空襲だ,隠れろ,避難しろ」っていうことで駆けていました。それから,「えっ,本当にあれ,敵だ」っていうことでね,パーッとみんな逃げて,そして,私の山田の家は,ヌンドゥンチっていうところがあった。そのヌンドゥンチの後ろのほうに,防空壕が掘ってあった。そこにみんな駆け込んだ。それからずっと一日中空襲でした。

 私たちは,そこのほうに隠れていた。そうすると,私たちの向かい側に山田城址という,山田城跡というのが,山田の城の跡がね,そこの山田の城の跡の,ここに穴があって,自然に開いた穴ですね,これに日本の兵隊さんが機関銃を空へ,こう待ち構えておった。そうすると飛行機がこう来ますと,ちょうど横になるんですよ。こう,読谷飛行場にたぶんやるんですが,ちょうど横になると,ここからバリバリバリッと,こう飛行機を撃つわけです。

 ところが,当たったかどうか,われわれには見えないわけ。この下に隠れているわけですから。そして,あとで兵隊さんが来て,「どう? 撃った?」って言ったらね,「うん,4~5けん,3機か4機かは落ちたんじゃないか」と言っていたんですが,落ちたかどうかは私にはわかりません。見ていませんでした。

 そんなふうで,10月10日の空襲というのは,まず最初は,訓練,演習だと。それから敵機だと思いましたね。そんなことで,一日中空襲に遭いましたが,幸いにして,私たちの住んでいる村は全く爆弾も落ちないし,何もしない。機銃掃射もされない,何でもなかったですね。